先日時間があったので、鹿児島近代文学館で開催されている企画展「続 向田邦子の装い」に
行ってきました。
「思い出トランプ」や「あ うん」などの作品は読んだことがあったのですが
もともとはテレビドラマの脚本家だったんですね。
10歳の頃から2年間ほど鹿児島で暮らしていたそうです。
東京生まれで山や河といった自然を知らなかったせいか
鹿児島を第2のふるさとみたいなものと親しんでいたらしく。
エッセイにもじゃんぼ餅や、焼酎、磯海岸、桜島、照国神社といったおなじみの名物、名所も登場します。
脚本家としても作家としても大活躍、直木賞までも受賞し、取材や執筆の多忙を
極めた中でも、常にファッションに気を配り、おしゃれが好きな方だったようで。
その時々の場所や状況、同席する人たちに合わせて、さりげないおしゃれが絶妙に上手
だったとのコメントもありました。30代の頃から洋服はオーダーメイドで、ボタン一つとっても
こだわりが詰まってるのがエッセイを読むとよく分かり、面白いです。
そんな向田邦子さんが来ていたスーツやコートやシャツがずらっと展示してあり、
時代が変わってもまったく遜色のない、素敵な服の数々でした。
幼い頃、たった1枚の洋服を選択する大切さを両親から学び、そこから大きくいえば「職業もつきあう人間も
人生での選択すること」の重要性を説いていて。
「責任をもってひとつを選ぶ」ファストファッションであふれかえってる現代とは逆行していますが、
いいものを長く着る向田邦子さんのぶれないスタンスを感じられました。
ちょっと共感できたのが。。
20代の頃は黒い服ばっかり着て「白い服は晴れがましい」と敬遠していたらしい向田邦子さん。
確かに白って爽やかすぎて、ちょっと気恥ずかしいというか、なんともいい難い
もやもやしていた感じが、「晴れがましい」という言葉でスッキリ解消されました。
この企画展は3月2日までで、常設展示室の2階にも「向田邦子の世界」としてコーナーがあります。
向田邦子が選んだ洋服を通して、彼女の生き方や人生観が伝わります。
ゆっくり時間が流れて、座って本も読めたりするのでオススメですよ。
かごしま近代文学館 文学ホールにて